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VS. RECORDS Vol.1 テクニーク編


“普段はデジタルでプレイしているけどレコードも毎度チェックしている現役DJ”のLicaxxx、“レコード屋通いとオンラインショップでのディグが止まらない音楽ライター”の松原、“音楽は好きだけどストリーミングサービス常用でレコードのことは全く素人”な鈴木、“音より先にジャケットに夢中になっちゃうグラフィック大好きなライター”の酒井、という特徴がバラバラなシグマファット編集部4人が、レコード店へ乗り込み、バイヤーの方にそれぞれの特徴に合ったオススメを伺う本企画。

今回は、新旧あらゆるダンスミュージックを豊富に取り揃えていることで知られ、創業から20年以上続く渋谷・宇田川町の名店「Technique(テクニーク)」を訪問。その圧倒的な品揃えを求めて訪れる国内外のDJや音楽好きに日々応えている、Techniqueのオーナー佐藤さんと4番勝負を敢行。


Licaxxx(現役DJ)VS.



<ROUND1>
PRIMARY PERCEPTION - EVIDENCE OF A PRIMARY PERCEPTION [Slow Life]
http://www.technique.co.jp/item/147814,SL010LIMITED.html


■佐藤さん
ベルリン拠点の新しいアンダーグラウンド・ハウス・レーベルSlow Lifeから2枚組。10インチ付きの限定バージョンです。聴いて楽しいエレクトロやブレイクス、ジャズの要素がある曲もあれば、昔のデトロイトっぽい雰囲気もあるしっかりとグルーヴィーに仕上がったテクノ、ハウス曲も。

■Licaxxx
私が多ジャンルにおいて好きなポイントがあることを知っているぞ佐藤さん…C2の電子音でつくられるよれたビートはシュッとしててカッコイイ。おしゃれな家具屋とかでかかってたら多分心持ってかれる…。リミテッドバージョンにしか入っていないE1はDJプレイで使いやすそうな代物。

https://soundcloud.com/slow-life/sets/sl010-evidence-of-a-primary-perception






<ROUND2>
RICARDO VILLALOBOS & ARGENIS BRITO - AMNESIA [Melisma]
http://www.technique.co.jp/item/148671,MLV06.html#


■佐藤さん
説明不要のカリスマRicardo Villalobosとベネズエラの気鋭Argenis Britoが、アゼルバイジャンのレーベルからコラボリリース! いつものリカルドよりトライバルな南米ぽさがあってDJのおかず的要素にもオススメ。

■Licaxxx
この1曲目は…ハイハットが来るだけで嬉しい、ミニマルにおける「ハイハットありがとう!!!!」の世界が生かされつつも、ちゃんとセニョリータとか言ってる…!静かめな展開のところから盛り上げるのにも便利だ…。






<ROUND3>
UNIT 2 - SUNSHINE, RMXS BY KINK, TIGER & WOODS[Running Back]
http://www.technique.co.jp/item/150169,RBOOT-1-5.html


■佐藤さん
Unit 2による名曲「Sunshine」の新リミックスが登場。 イタリアの陽気なクセモノデュオTiger & Woodsと、最近も来日した奇才KiNKによる、ダブルAサイド的なキラーチューンです。DJでも盛り上がるんじゃないでしょうか。

■Licaxxx
うわ! これは超ハッピーだ! 朝方にみんなで爆発的なテンションで聞きたいやつだ! KiNKの食って入る感じのキックもやばい! すぐ買います!

https://youtu.be/IxoNQ9ZqeDw



松原(音楽ライター)VS.



<ROUND1>
EROS - EROS02[Eros]
http://www.technique.co.jp/item/87670,EROS02.html


■佐藤さん
ラベルが素敵な1枚。名だたるクラシックをリエディットして使い易くしているシリーズですね。Erosはいま3作出ていて、これはそのうちの2作目なんですが、どれも初回プレスは長らく入手できなくて中古市場でも高値が付いていたんです。これは待望のリプレス盤。

■松原
思わず聴き入ってしまうノリ易いグルーヴ感と、“前衛的な遊び”の細かさにも抜かりが無い、抜群のエディット感覚。初期エレクトロ、アフロ・ハウス、スローモーファンク、アシッド・ハウス、1枚で4種類も楽しめて、DJであれば様々なシチュエーションでのフロアキラーになりそうです。






<ROUND2>
DJ NOBU - KOKO[Bitta]
http://www.technique.co.jp/item/146565,BITTA004.html


■佐藤さん
DJ NOBUさんのレーベル〈Bitta〉の最新作です。リミキサーにはIoriとTakaaki Itohが参加していて、全員ベルリンのBerghainに出演している日本のテクノのトップランナーたちが集まった1枚ですね。

■松原
もしあなたが20代の若者で、周りの友人にテクノ好きを公言したいなら、まず持っておきたい1枚。キックの奥で揺らぐ上音に時間感覚を飛ばされるオリジナルと、上音が主役な変拍子エディットの対比も楽しめて、4つ打ちのキックを際立てて推進力を増したリミックスも実に爽快です。






<ROUND3>
MIKE HUCKABY - TOO MANY CLASSICS TO BE LEFT WITH LITTLE OR NO ATTENTION [Deep Transportation]
http://www.technique.co.jp/item/151355,DT-04.html


■佐藤さん
言わずと知れたデトロイトのカリスマ、Mike Huckabyの最新リリース。しばらく入手困難だった彼のクラシックスを集めた2枚組のコンピレーションで、持っておいて損は無いかなと思います。

■松原
〈Eros〉のリプレスと同様に、入手困難な作品が再発売されるのは本当に有難いです。Huckaby氏本人による選りすぐりの6曲から、改めて90年代のデトロイト・テクノ/ハウスの基礎に触れることのできる良い機会になるはず。文脈的にヨーロッパで流行のジャズ・ハウスとも親和性高いです。



鈴木(素人)VS.



<ROUND1>
TALAMANCA SYSTEM - TALAMANCA SYSTEM[International Feel]
http://www.technique.co.jp/item/150621,IFEEL063LP.html


■佐藤さん
ウルグアイ発のレーベルで、今はイビサが拠点です。このレーベルはニューディスコからバレアリックまで幅広く出していて聴きやすいはず。この盤は、レーベルを主催しているGerd JansonとLauerがユニットで出してるもので、いろんなジャンルのエッセンスを含んでいる最新作であり、ファーストアルバム。ちなみに、このレーベルからは日本のGONNOとかも出してますね。

■鈴木
イビサ!ディスコ!聞くだけでワクワクしますね(笑)。そして、この女子ウケ良さそうなジャケット!友達の家とかに飾ってあったら間違いなく誰のレコードか問いたくなるようなアーティスティックなアートワークですよね。肝心の内容についてですが、これまた女子ウケ良さそうな曲が入ってますね。最高です。C2『Conga Cage』は猫の鳴き声や象の鳴き声などの動物の声が入っててとても可愛いらしいうえにイビサ感をしっかり感じさせてくれますね。






<ROUND2>
VELVET SEASON & THE HEARTS OF GOLD - ANGEL DUST EP[Biue Velvet]
http://www.technique.co.jp/item/151425,BV007.html


■佐藤さん
A面には、Queenの『地獄へ道ずれ』をエディットしているのが入っていて、B面には、Spacelによるディスコの『Carry On , Turn Me On』が入っています。アーティスティックに作られている感じですね。このジャケットも含めて怪しい雰囲気がしませんか?あと、これを作った人は、DJ Harveyなどのレーベルから出したり、Quiet Villageという名義で出していたり、Radio Slaveと共演する人なので間違いないし、聴きやすくていいんじゃないでしょうか。

■鈴木
A面は誰もが聴いたことがあるであろうQueen。その中でも名曲中の名曲である『地獄へ道づれ』のエディット盤。Queenの超名曲で知られている『We Will Rock You』や『I Was Born To Love You』などはパワフルで明るめの曲が多いですが、これはタイトル通りすごくダークな曲なんですよね。でも、なんかハマってしまうリズム感や世界観…。この曲を知らなかった人もこれを機に是非とも聴いてほしい。原曲と比較して間違い探しみたいな形で聴いてみるのもいいかも。B面はジャンルが全然違って、当時の雰囲気やノリを感じることができる王道ディスコソング。ダンスミュージック全般が聴きづらかった方もこのEPをきっかけに聴きはじめても良さそうですね。ジャケットはかなり可愛いので女子は必見必聴です!






<ROUND3>
PRISM (SUSUMU YOKOTA) - METRONOME MELODY[Sublime]
http://www.technique.co.jp/item/147516,MMLP20009.html


■佐藤さん
残念ながら亡くなってしまったのですが、ススムヨコタの作品です。これはCDでしか出ていなかったものをアナログ化したもの。しかも、日本版、UK版、US版でリリースされた中からの選りすぐりの曲なので、とてもいい感じにまとまっているアルバムです。

■鈴木
この作品はススムヨコタさんの曲の中でも選りすぐりのものが入っているとのことで、DJだったら絶対に使いたいであろう曲が詰まってると思います。A1『Aurora Mind』を聴いた時には驚きました!タイトルにもあるように、メトロノームの音がそのまま入っているんです。そんな曲は聴いたことがなかったので、その発想の斬新さに衝撃を受けました。こんな発想はススムヨコタさんだからこそ出てきただろうなぁ…。同じ日本人としてこのような偉大なアーティストがいたことが誇らしいです。海外での人気も凄まじいというこの作品は、持っていて損はないと思います。紹介していただいた佐藤さんに感謝です。






<ROUND4>
WAYNE SNOW - FREEDOM TV[Tartelet]
http://www.technique.co.jp/item/149416,TARTALB007.html


■佐藤さん
デンマークのTarteletというレーベルから出しているナイジェリア出身のシンガーソングライターです。ハウス、テクノよりも少しR&B寄りなのですが、ジャケットも含めていい感じにディープでグルーヴィなサウンドが聴けるはず。オススメ!

︎■鈴木
うーん、すごくナイジェリアっぽい(笑)。おそらくジャケの男性の方がWayne Snowさんだと思いますが、見た目の通りセクシーな曲が詰まってますねぇ…。A1の『Cooler』では粘っこいスロービートで終始フワフワした感覚が続いてすごくリラックスできます。寝る前にベッドで流したらオシャレですね。A3『Drunk』は、わりとアップテンポでクラブ寄りな曲。踊れそう。ボーカルのボヤッとしたセクシーな声がたまらなくて完全に惚れちゃいました(笑)。



酒井(ジャケ買い) VS.



<ROUND1>
V.A. - QUATTROPORTE[Nervmusic]
http://www.technique.co.jp/item/145893,NM020.html


■佐藤さん
ロシア・モスクワの最新レーベルNervmusic Recordsからのリリースです。いわゆるミニマル・シーンのアーティストたちが集結した1枚。アートワークもかなり気合が入っているようで、裏面や中にも写真があります。

■酒井
何かと話題のロシア発のレーベルとのことで、ジャケットに使われている写真はまさに旧ソ連時代を思わせる壮大かつミニマルな建築物が背景に。今、オリエタリズムが多分に含まれた視点でロシアのキッチュでダサいファッションが世界中から面白がられているわけだけど、こうした抑制の効いたビジュアルもまたロシア(と一括りにできるのか謎だが……)のリアルな風景なのではないだろうか。郊外的な地域(かつ元社会主義)では、こうした画一的な風景が幼い頃から刷り込まれているのかもしれない。そして、そんな風景とモノクロが気持ち良くフィットする気がします。






<ROUND2>
AUSSIAN CURVE - THE DISTANCE[Music From Memory]
http://www.technique.co.jp/item/151051,MFM018.html


■佐藤さん
アムステルダムを拠点にするGigi Masin, Jonny Nash, Marco Sterkの三人組ユニットGaussian Curveのもの。Music from Memoryというレーベルです。この盤は、テクノ、ハウスというよりも、アンビエント、チルアウト、ニューエイジなどいろんな面白ものが混ざってるんです。

■︎酒井
音楽をビジュアライズすることは結構難しい。音は、あるビジュアルを思い起こさせるけれど、定義できるほど明確ではない。そんなとき、こういう抽象的な自然を切り取った写真はフィットしやすいのかもしれないな……などとビジュアルと音楽の関係を考えていると、ある話を思い出した。写真家のヴォルフガング・ティルマンスが、最近になってテクノのEPをリリースしたのだ。彼は、キャリアを重ねるごとに抽象的なイメージへと変化していき、ファッションシーンからアートシーンへとシフトしていったのだけれど、両者の関係についてこう言っている。「ヴィジュアル・アートは、いつでも "物"とギャラリーがついて回る。物質的なんだよね。音楽はもっと——パフォーマンスにしても、言葉にしても、"そこでしか起こり得ない"もの。それこそが自分を表現するのに適した手法だって感じたんだ」。ビジュアルの方でもまた別の制約があるらしい。そんな彼がひとつの答えとして提示したのは「ビジュアル・アルバム」という形式。要は1曲ずつではなく、アルバム全体のPVを作るという考え方。なるほど、音をビジュアルとして定義できないなら、とりあえずすべてを包括してひとつの世界を作っちまえというわけだ。






<ROUND3>
DJ HELL - I WANT U[Gigolo]
http://www.technique.co.jp/item/147764,GIGOLO301.html#


■佐藤さん
これはジャーマン・シーンの大御所DJ HELLの最新作。ジャケットはいつもの通り素敵な感じで。70年代のマッチョなゲイの素材を使ってますね。シングルが出たときも、ルード感のある不良っぽいアートワークでした。

■︎酒井
マッチョでピチピチのホットパンツを履いたいかにも70年代のちょっとアブないハードコアなゲイのイメージ。DJ HELL は、好きで使っているのか、それとも……?あえて前時代的なアイコンを使用している意図はまったくもって謎。しかし、過去には「NY Muscle」というタイトルのアルバムもあり、意味深なマッスルの伏線が……。マッチョなゲイと言えば、写真家のロバート・メイプルソープが捉えた耽美的な写真もあるけれど、趣向が違いすぎる気も。また、映画『ムーンライト』では、幼少期にゲイとしていじめられていた主人公シャロンは、自己変革の証としてマッチョなハスラーへと自らを鍛え上げていった。ここにも前時代的な男性像が見え隠れするわけだけれど、最終的には、心は幼少期と変わらず水晶のように繊細で美しいまま(初恋の相手を忘れずにずっと想い続けていたのだ)で、静謐かつリアルにステレオタイプなバイアスを優しくほどいていった。視点をDJ HELL の例のジャケットに戻して見てみると、あのマッチョな男性も違った見え方がするのでは……?と、寄り道しながら考えていると、表題曲のPVを見つけた。すかさずチェック……あれ??全然違う??というか、むしろ、最初のイメージと全然変わらない、ただ単にハードコア・ポルノが好きな人じゃん……。




<STAFF>
Editor:廣田利佳(Licaxxx)
Writer:酒井瑛作(Eisaku Sakai)

<SHOP DATA>
テクニーク
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