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アンダーグラウンドのヒーローたち NYの音楽シーンで活躍する日本人アーティスト・BIGYUKIの素顔

6歳からクラシック・ピアノを始め、高校卒業後にアメリカの名門音楽大学・バークリー音楽院を経て現在はNYを拠点に活動しているキーボディスト・BIGYUKI。彼はジャズ~ソウル~ヒップホップが交差するニューヨークのミュージック・シーンで現在最も注目されているアーティストの一人である。

2016年には大手ジャズ専門誌の『JAZZ TIMES』で読者投票のキーボード奏者部門でハービー・ハンコック、チック・コリア、ロバート・グラスパーと並び入賞するという快挙を達成。また、HipHopのレジェンドであるQティップが所属するグループ=ア・トライブ・コールド・クエストが2016年11月にリリースしたアルバム『We Got It from Here… Thank You 4 Your Service』のうち8曲ミュージシャンとして参加し、3曲Qティップと共作、そして、1曲楽曲を提供している。この作品は全米アルバム・チャート1位を獲得し、オノ・ヨーコ&ジョン・レノン『Double Fantasy』以来36年ぶり、日本人2人目となる全米1位作品参加の日本人となった。

最新アルバム『Reaching For Chiron』も新進気鋭のアーティストが多数参加しており、BIGYUKIのキーボディストの面に加え、プロデュース力を存分に感じられる作品となっている。

経歴だけ見れば、どんなイカつい人が出てくるんだろう…と思ってしまいそうだが、そんな彼はなんとも人懐っこい日本人である。彼の素顔を覗くべく、先日行われた『Montreux Jazz Festival Japan 2017』で来日した彼のライブ直後に話を伺った。



--アメリカに行こうと思ったきっかけは?

高校生のとき、やりたいことが分からなかったけど、両親はアメリカに住んでいた経験があったので、「とりあえず日本を出てアメリカ行けば」と言ってくれた。昔から唯一続けていたのがクラッシック・ピアノだったので、音楽を勉強しにアメリカに行こうかなと思い、奨学金を獲得してバークリーに行きました。 





--今回のアルバムは特にブラックミュージックと密接に関わった音楽が軸になっているものが多いと感じます。いろんな国や人種の人がいる現場で揉まれるというのはどう感じますか?


音楽はユニバーサルな言葉だから、国籍というよりもそれぞれ全然違うバックグランドを持った人が集まってきて、でも、共通するものがあって集まってきてると感じます。

--最初に飛び入りでセッションに加わったのは学生時代だそうですが、どうでしたか?

最初はめっちゃびびった!(笑)けど、この面の皮の厚さが良かったのかな? 後先考えずに無茶して。でも結果的に今に繋がってるし、最初に通い始めたセッションで知り合った人たちは今でも友達です。



--キーボディストでありながら、自分の曲を作るときはプロデューサー的な感覚が強いと思う。そうなった理由はなんだと思いますか?

今回のアルバムに関しては、ライブ演奏の時に再現できる曲というものではなく、純粋にかっこいいと思える曲を作ろうと。楽器を重ねる、シーケンスを駆使するなど、スタジオでできることをやった。そういう意味で自分はプロジェクトリーダーみたいな意識です。この曲にはこのメンバーが欲しい、という感覚でお願いしました。自分の今持っているコネクションで集められる限りの中では最高のメンバーです。可能な限りの最高の機材、スタジオ、メンバーでできたのでこのアルバムに全く悔いはないです。

--アルバムリリース直後ですが、今後やりたいことは?

今年は全米ツアーやEUツアーで出っ放し。1月からはすぐまたアルバムを作り始めたい。



--音楽以外でインスピレーションを得ていることは?

ツアーに出ているメンバーのほとんどがヨガをやってます。ツアーに出ていると自分の時間を取るのが難しい。でも、長く音楽を続けるためには体が資本なので、自分の体と向き合ったり、瞑想したりすることでインスピレーションを得てます。



BIGYUKI
http://www.universal-music.co.jp/bigyuki/

<STAFF> 
Photo: 草野 庸子 Yoko Kusano
Editor: 廣田 利佳(Licaxxx)